062982 ランダム
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♪わさわさの妄想部屋♪

♪わさわさの妄想部屋♪

水面下~碧~

            人はやがて 「現実」から「白」へ辿りつく


少女はずっと待っていた

ずっと
この「時」を
あの 少年と出会った「時」から
少年は少女の全てを変えた
だから この「時」を待っていた


水面下は 「碧」を映す
それは 少年の「正義」と似て非なるところ
水面下は終焉に近づくにつれて激しさを増す
それが 何を示すのか
それは 男しか知らない
少女が描いた「碧」
その「碧」とは……

彼の隣で 笑っていたい


だけど 「現実」はそんな「碧」さえ許してはくれなかった
そして 戦場の「恐怖」が また二人を遠ざけた

どうして? そんなに難しいことなの?
私が 「罪」人だから?

「罪」人は どんな「碧」も叶えられないの?

私は ただ帰りたいだけだったのに
彼の元へ……

私を包んでくれた彼の元へ

だけど もう……


今や少女はもう 「現実」から足が離れた存在
ただ「追憶」を見た
悔いはない
一つの「碧」以外は

少女にとって 「記憶」も 「時」も 「自我」も
「恐怖」も そして「現実」も
全てが残酷で たった一筋の光さえ見せてくれない

少女は ずっと待っていた
ずっと
この「時」を
それは「時」のいたずらだったのか
出会ってなければ…… 私は……

求めることすら しなかったのに


それは問う

貴方の「碧」は何?


……え?


それは問う

貴方の「碧」は何?


少女は答えた
それが 何か分かっていなかったと思う
だけど その問いの答えは
ずっと 少女の中にあったものだから


彼の隣で 笑っていたい


それは答える

貴方の行く道は「白」へ通ずる
されど案ずる事なかれ
その「白」までの道
あと少しであれど その「碧」を零さんことを

そして少女は歩み出す

その先にあるものが 少女がずっと描いていた
「白」であることを祈って……


水面下は静かに 揺らぎを止める
それは 神の「慈悲」だったのか
水面下が見せた「碧」は 男の目にどのように映ったのか
そして 少女がたどり着いた「白」とは……

――「碧」
それは 誰もが心に宿すもの
君が人である限り 常に何かの「碧」がありますように……






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